女性脱毛サロン「銀座カラー」が2023年12月15日破産し、16日に全店の営業を停止しました。代金支払い済みの会員も施術が受けられず、被害者は10万人を超えるという見方も出ています。
過去大手脱毛サロンの「ミュゼ・プラチナム」も2015年運営会社のジン・コーポレーションが多額の負債を抱えたことによって任意整理となり、事業を別会社に売却したことなどがありました。
また英会話スクールの「NOVA」も事業譲渡をすることによって、破産の危機を免れている過去があります。
旅行会社「てるみくらぶ」は債権者集会の結果、弁済予定率が1.9%という衝撃の結果となっています。「銀座カラー」はどうなるのか、調べてみました。
「銀座カラー」のコース内容、医療脱毛より結果支払うお金が増えるのはなぜか
インターネットで情報を調べてみたところ、「銀座カラー」は初回は「全身脱毛コース」に契約して会員になります。そして足りない部分や追加で施術したい場所をポイントを追加で購入する制度になっていました。
ポイント制とは、あらかじめ複数のポイントを購入しておいて施術の部位によって定められたポイントが消化されるという仕組みです。
銀座カラーの場合は15ポイント54,000円、25ポイント108,000円、30ポイント180,000円で脱毛箇所によって1〜3ポイントを消化していくということです。
医療脱毛とエステ脱毛の大きな違いは、脱毛効果の度合いです。
レジーナクリニックHPより
医療脱毛は半永久的な脱毛効果があり、エステ脱毛は制毛・抑毛効果があります。
医療脱毛はエステ脱毛と比べて、施術にかかる初期費用が高いですが、少ない施術回数で半永久的に毛が生えてこない状態になります。
そのため、施術完了までの期間で考えると、医療脱毛の方が脱毛にかかる費用は安くなることがあります。
医療脱毛はパワーが強く毛根を破壊する脱毛であるため、半永久的な効果があります。
しかしエステの脱毛は毛の発育を抑止するにとどまるため、年月が経過するとまた生えてきます。
なぜなら医療関係者が扱えるレーザーのパワーはエステの脱毛に比べて段違いに強いからです。
美容皮膚科の施術でおなじみの「ハイフ」のやけど事故もほとんどがエステの違法行為によるものです。
エステの脱毛は何度通ってもまた生えてくる、いくらお金を払ってもまた払う必要があるというものです。
前払金で複数回分の料金を支払わせるため、「会社にお金ある」と経営者が勘違いしてしまう
過去に英会話のNOVAやミュゼ・プラチナムでも債務整理や破産に陥り、事業譲渡をせざるを得なくなりました。
これらも今回の銀座カラーと同じように前払いで代金を支払ってポイントを消化していくビジネスモデルでした。
問題点は前払いさせることによって会社に資金が集まったと経営者が勘違いしてしまうこと。
顧客は今契約したらお得なキャンペーンで契約をします。数回分おまけがあったり有効期限が長かったりするとそれだけお得感が増し、顧客獲得はスムーズにいくでしょう。
しかし大勢の顧客と一気に契約しても受け皿となるスタッフや店舗がなければ運営していけません。
それなのにも関わらずさらに顧客を獲得したいとテレビCMや宣伝活動に資金を回す一方で、顧客数に見合った店舗展開やスタッフ雇用ができていなければ、たちまち顧客は予約が取れなくなり満足度が低下します。
過去英会話のNOVAでは外国人講師の給料未払問題も発生していました。
今回の銀座カラーでは10万人とみられる方が影響を受けるとみられており、負債総額は58億円です。
ローンで契約していた方は支払が続きますが、今後の施術はできなくなります。あまりにもひどい状況です。
倒産を隠し集金する悪どい手口
破産当日に契約したなんてあまりにも悪質すぎますね。債務返済に充てるために会社の状況を隠して契約させるなんて絶句します。
ミュゼ・プラチナムがかつて破産して別の会社に事業譲渡され、現在も同じブランドで脱毛サロンを経営しているためニュースを見ていなかった人はもしかしたら知らない人もいるのかもしれません。
銀座カラーは1993年起業の30年続いた企業ですが、破産する理由は同じでした。
こちらも銀座カラーに安心して通ってと真っ赤な嘘をつかれた方のXです。
「お客様がご満足いただけるまで、回数に制限なく利用いただけます」とは普通に考えてエステ脱毛では難しいのではないでしょうか。
今後債権者集会が行われたらいくら返ってくるのか?てるみくらぶはたった1.9%、グロワール・ブリエ東京は返金困難
いくつかの事例などをみてみましょう。まずはてるみくらぶです。
2019年3月13日、2017年に破産した旅行会社「てるみくらぶ」の第4回債権者集会が開催された。東京商工リサーチによると、集会では、旅行者など一般債権者の配当(弁済)予定率が1.9%になることを報告。例えば100万円のツアーを申し込んだ人には1万9000円程度が配当される計算となる。
https://www.travelvoice.jp/20190314-127731
予約していた航空券の発券や海外での宿泊ができないなど、9万人におよぶ旅行者が被害を受け大きな社会問題となった「てるみくらぶ」も弁済予定率が1.9%です。
100万円支払っても1.9%しか戻ってこないという衝撃の結末となりました。
平成29年4月5日に破産手続き開始決定を受けた「グロワール・ブリエ東京」の場合を紹介します。同社は、脱毛サロンを全国に約100店舗展開し、顧客(会員数)は約9万人にも及んでいました。顧客は、十数万円から数十万円に及ぶ料金を月ごとに分割して前もって支払う契約を結んでいたようですが、破産管財人のホームページによると、解約を希望してもすでに支払った施術料金の返金(配当)は困難な見通しとされています。
弁護士法人みずきHPより
まず従業員の給与が先。全額支払い済みは戻ってこない可能性、カード分割はダメ元で抗弁書を提出
倒産した場合、まず消費者への精算より従業員の給与や税金支払いが先となります。
全額支払済みという場合は、従業員の給与や税金の支払い後になるため資金が残っておらず戻ってこない可能性が高いです。
カード払いの場合は今後の引き落としを止めるために、クレジット会社に対し、支払い停止を求める書面(抗弁書)を提出するという方法をとります。ただし、この方法は、これからのクレジット代金の支払いの停止を主張できるというものであり、契約の解除や、余分に支払った代金の返還まで主張できるものではない点に注意が必要です。
奈良県 HPより
カード払いの場合は抗弁書を出すことはできますが、残念ながらそれを出すことによって必ずしも契約が解除できるものではないということです。
また今後、破産管財人たる弁護士が任命されたら、権利の主張のため債権者名簿に名前を登録してもらうこともやっておきたいことです。
1円でも多く返金されて欲しいと願っています。