11月4日東京小金井市のイベントで配られたお菓子のグミを食べた男女5人が病院に搬送される事件がありました。このグミは「大麻グミ」であり、大阪でも9月に同じメーカーが作った「大麻グミ」が原因で嘔吐などの症状で4人が次々と搬送されました。
「大麻グミ」の袋には、現在規制されていない大麻成分に似た合成化合物「HHCH」が含まれているとの表記がありました。
大麻の抽出物は実はたくさんありそれを知らない人も多いのではないでしょうか。
大麻成分の抽出物と気をつけるべきポイントをまとめてみました。
大麻成分HHCHが含まれた食品で全国で問題多発
大麻成分HHCHが含まれた食品で「気分が悪くなった」「嘔吐した」などの体調不良者が続出しています。
ここ最近のHHCH食品で報道された問題を振り返ってみましょう。
- 2023年1月以降茨城でもクッキー食べた数人を救急搬送、吐き気など体調不良訴え「合法大麻扱う店で購入した」
20歳代の数人が、クッキーを食べて体の震えや吐き気などの体調不良を訴え、救急搬送。「合法大麻を扱う店で購入した」などと説明。
- 2023/11/4食べたのは「大麻グミ」だった?男女6人が症状訴え 配った男は「食べたら気分が良くなったので…」
来場者ら6人に「よかったら食べない?」と言って次々とグミを手渡し、全員が嘔吐や目まいの症状を訴えた。5人が病院に搬送されたが、命に別条はない。
- 2023/11/15東京・板橋でも 「大麻グミ」食べた男女2人が救急搬送
東京都板橋区のマンションの一室で「グミを食べたら体調不良になって苦しい」と119番があった。20代の男女が手足のしびれや吐き気などを訴えた
- ラベル「大麻グミ」 今年大阪府内でも十数人が食べた後に救急搬送される
府内で今年、20代から30代を中心とした男女十数人が「大麻グミ」とみられるグミを食べた後に体調不良を訴え、救急搬送された。
今回の「大麻グミ」の成分はHHCH。グミはCBDのものもあるが違いは?
大麻グミというかTHCHグミ、1粒で15時間も気絶しちゃうほどすごかった記憶 2度と食べたくない
— ロンプラ (@lonely_planet_) November 14, 2023
CBDグミ好きとしては THCH(HHCH)グミのことを一括りに大麻グミと報道するのはやめてほしい
大麻成分の中には大きく「ハイになるもの」と「リラックスできるもの」に分けられます。
「 ハイになるもの」はいわゆる麻薬的効果が得られるもので、THC(テトラヒドロカンナビノール)=ハイになり、中毒性があるもので非合法です。
「リラックスできるもの」はストレスの緩和の効果があるもので、CBD(カンナビジオール)=深いリラックス効果が得られ、合法です。
今回の大麻グミはHHCHが入っていますが、どのような成分にあたるのでしょうか。
HHCHはTHCより強力。
HHCHは、大麻の中に微量に含まれる天然のカンナビノイドTHCH(テトラヒドロカンナビヘキソール)を水素化させたカンナビノイドです。THCHは2020年に発見されたカンナビノイドで、THC(テトラヒドロカンナビノール)より強いレクリエーション要素を持つカンナビノイドとして需要が高まりつつありましたが、2023年8月4日に規制対象となりました。HHCHはそのTHCHを水素化させたことで熱や光に強くなり、化合物としての安定性が増したカンナビノイドです。THCHと似た分子構造をしており、同程度の効果を持つと考えられています。しかし、まだ新しいカンナビノイドのため、海外を含めまだ十分な情報や研究データは揃っていない状況です。
https://www.chillaxy.jp/cbd-education/guide-hhch/
THCHはハイになる効果が高いカンナビノイドで現在は規制が入っています。そのため、同程度の効果を持った成分として開発されたようですが、まだまだ新しい成分であるため人体にどのような影響が出るのか、長期間の服用でどうなるのか、などのデータに乏しいようです。
またCBDとTHCHやTHCとの大きな違いは、依存性にあります。
「大麻グミ」という言葉で危険性が全く伝わらない
「CBDは今回報道されている『大麻グミ』、つまり合成された化合物であるHHCHとは大きく異なる成分です。CBDは精神作用がなく、安全性も認められ食品として正式に認められている成分です。今回、『大麻グミ』として報じられたことで、HHCHという準危険ドラッグ(いずれ指定薬物として規制されるであろう成分)と、合法であるCBDとが混合されて報じられています。メディアにおいてもきちんとその辺りの区分けがなく報じられていることもあり、我々としては大変迷惑をしています」
「ワンインチ」の柴田耕佑社長のXより
「ワンインチ」ではCBD成分を使った大麻グミを販売していますが、いわゆる今回事件があったHHCHとは全く異なる成分を使ったグミになります。
メディアの報道では大麻成分は大麻しかないと言った報道がされていますが、これは非常に危険なことです。
HHCHは準危険ドラッグで麻薬的効果があるため、常用の危険が発生する恐れがあります。
問題ない大麻成分が入っているグミは「CBDグミ」です。
HHCHという人体にどういった影響が及ぼされるか、まだ調査が足りていない成分を使用したグミをイベントで配ったのは誰でしょうか? まだわかっていません。
そして知らず知らず食べてしまった人たちに対してどのように責任を追求するのでしょうか。
CBDを使った商品が世の中に出ている中、「大麻成分」が身近になってきています。
HHCHも同じようなものなのかな?と言った人たちが知らずに食べることは絶対に避けなければなりません。
「大麻グミ」という報道に違和感を覚えます。
HHCHは2023年12月にも指定薬物入りへ
厚生労働省は、問題のグミに含まれるとみられる「HHCH」について、指定薬物に指定する方針であることがわかりました。
早ければ来月上旬にもこの成分を含むグミなどの所持、使用、販売を禁止する方針とのことです。
違法薬物ではないから、合法ドラッグだからと安易に手を出すことは危険なことです。
過去にも脱法ハーブや合法ドラッグと言われたものが次々と指定薬物として禁止されてきました。
人体に対する影響も少なくありません。本当に危険な行為です。
「HHCH」が規制されたら、今度は「HHCP」イタチごっこを止めるには?
HHCHが規制対象となっても現在はHHCPという化合物を使った食品が店頭に並んでいます。
大麻は世界的には酒やタバコよりも依存性や害は少ないと言われています。
事件となったHHCHグミは大麻の10倍、今回販売となっているHHCPは大麻の33倍の効果があるそうで、規制されたから別の化合物を…とのことで使用しています。
日本に入ってきていないTHCーDMHは大麻の100倍以上と言われているため、気分が悪くて倒れたでは済まされず、今後は死亡事故のリスクもぐんと高まる恐れがあります。
誤って口に入れ、うっかり死亡してしまったでは済まされません。
興味本位で大麻化合物の含有食品食べてみたいと思うのではなく、CBDのようにどれなら本当に問題ないのかをよく知ってから口に入れる必要があります。
厚労省の規制を個別規制から個別承認制にするのはどうか
このようにイタチごっこで規制したら次々別のものが出てくる大麻系食品。医薬品で使われる大麻などを必要としている人がいる一方で、興味本位で麻薬体験をする人もいます。
個別に点で規制をかけていては遅すぎるのでしょう。
必要な人に届けるためには、個別の用途や商品で厳しく承認をかけていく必要があるのではないでしょうか。